日曜日の午前中に行く本屋は、本好きにとっては、至福の場所です。
静かな店内で、時間を気にせず気になる本を手に取り、本を買う。誰にもじゃまをされずに、好きなように店内を巡る。

平日の夜や週末の日中とは違う時間の流れ方を感じながら、穏やかな時間を過ごすことができます。

一人で本屋に行くのもよし、誰かと一緒に行くのも良し。今回は、所属するオンラインコミュニティ「ビジュツヘンシュウブ」のメンバーで青山ブックセンターに行きました。名付けて、青山ブックセンターのブックハンティング。

青山ブックセンターは、私がここ数年間で最も本を買っている書店です。オシロから歩いてすぐということもありますし、何より品揃えがエッジが効いていて、入り口付近では、独立系書店にしか並ばないような、知らない本にたくさん出会える場所で、仕事帰りについ寄ってしまいます。

店内は、大き過ぎず、小さ過ぎず(とはいっても1フロアでこれだけ冊数を置いてるのはかなりの広さ)

今回のイベントは、ブックハンティングということで参加者で本屋さんで集まり、店内を巡り、気になる本を買うツアーを開催しました。

本来のブックハンティングの意味は、学生図書委員が図書館に並べてほしい図書、他の学生に読んでほしいと思う図書を、大型書店で実際に選んでもらう選書ツアーのこと。

ビジュツヘンシュウブのブックハンティングは、ちょっと意味合いが違います。
参加者が自由に気になる本を手に取り、ときおり芳雄さんと話したり、メンバー同士で話しながら本を選び、なぜその本を選んだか?を語り合うイベントです。

まず私が手に取った1冊はこちら。
IMG_2621.jpeg 3.25 MB村山由佳さんのPRIZEという小説です。全然この本は知らなかったけど、先週参加した2025年上半期カルチャーのイベントで文芸評論家の三宅香帆さんが、イチオシとして選んだ本。タイトル通り、作家さんが直木賞受賞を獲るにあたっての葛藤を描いている。約1ヶ月後に、直木賞の受賞作が決まることもあり、この本を読むと、芥川賞直木賞の見方が変わるということで購入しました。

つづいては、ビジュツヘンシュウブに関連した、アートに関する本を。

実は、ビジュツヘンシュウブで7月から、鈴木芳雄さんと、美術ジャーナリストの藤原えりみさんによる、西洋美術を基礎から、かつ本格的に学ぶ講座がスタートします。

アートに関心はあるけど、どこから手をつけて良いかわからない私にとっては、事前に本を読んで最低限の知識は身につけておきたいところ。

「ビジュヘンの講座を受けるにあたって、読んでおいた方が良い本はありますか?」と芳雄さんに質問したところ、紹介された本がこちら(特にリンクは張らないので興味ある方は、ぜひ街の書店で注文してみてください)

IMG_2628.jpeg 2.86 MB美術書のコーナーに行くと、分厚い本が積まれてるなぁというのが第一印象。芳雄さんに聞く前から、存在感ある積まれ方していたので気にはなったけど、積ん読で終わること間違いなしなので、一人で本屋で見ても選ばなかったです。

芳雄さんはこの本を手に取りながら、僕に語りかけました。元々はもっと大きな本で、復刊したんだけど復刊する前は一時期Amazonでプレミア価格になっていたと。

それもそのはず、何十年も前に書かれた本で世界で800万部も売れていたのに、日本では長らく絶版になっていたらしい。この本は読んでおいた方が良いよと芳雄さんに言われたら、買わない理由はありません。

人におすすめされた本は、迷わず買うのが私の信条。そのあとは、みんなでオシロのオフィスに行き、皆で何を買ったのかお披露目タイムです。

IMG_2612.jpeg 3.09 MBIMG_2613.jpeg 2.81 MB

残念ながら、僕は予定があったので冒頭だけ参加しました。各自がどうしてこの本を手に取ったのか、理由を話したり、芳雄さんのエピソードを聞いたり。

読書会は苦手という人も、本を選んだ体験を皆でシェアするのは、人となりもわかるし、おすすめかもしれません。

「美術の物語」の背景を芳雄さんに説明いただくことで、自分一人では何一つわからなかったのに、少しだけ身近になります。

例えば、本の間に黄色のスピン(しおり紐)が2つありますが、前半が文章、後半が絵に分かれていて、複数の箇所を行き来しやすいようになっています。
IMG_2629.jpeg 2.85 MBもちろん文章と絵が同じページにあるのが見やすいけど、ページを分けることで紙のコストを抑えることができるらしい。たしかにこのボリュームで、これだけカラーを使って5000円ほどなので、大分リーズナブルとも言えます。

そしてこの本は絵のページにどの美術館が所蔵しているかなど情報が入ってなく、余白がたくさんあります。
IMG_2634.jpeg 2.54 MBだから、この本を片手に美術館を巡ってメモをしていくと、自分だけの美術ガイドができる。この本をボロボロになるまで、読んだ方が良いよ、それが自分の血肉となる。そんなことを言われると、俄然西洋美術を学びたくなります。

他の方の選んだ本も、いろんなセレンビリティがありそうで、話を聞きたかった。僕は途中で帰ってしまったけど、予定の終了時刻をなんと2時間も過ぎて、4時間ほどの会になったと聞いて、めちゃくちゃ盛り上がったらしい。

青山ブックセンターのブックハンティング、ゆるく始まりましたが、本という共通点からその人のバックボーンを知れるのは、とても良い体験だと思うので、次は神保町ツアーを楽しみにしています。

ビジュヘンゼミの西洋美術講座も近々案内ができると思いますのでお楽しみに。