ビジュヘンイベントで遠山記念館へ。
渋谷から車で2時間?
何もないところにひょっこり現れた。
家の前のお堀のような池の蓮が綺麗にされるところだった。
大きな門構えには洒落たランプ。
庭を抜けると茅葺と銅版の二重の屋根の母屋。これが重要文化財。小上がりのたたきの石からして大きい。そして天井を見ると見たことのない木目の板。縦に切ったら縦の木目だけど、横に切ったら年輪だけど、どこをどう切ったらこの木目になるの?という板張り。
真ん中が遠山家の家紋なのだが、なんだか太陽のように。
家中が、明治の建具屋、表具屋、左官屋、大工たちの、美の饗宴。
というか意地の張り合いに近い。
これでもか!
な、手仕事たち。
欄間も襖も、襖の引き手さえ、
小洒落た細工祭り。
現代の金持ちだったら、
どーだ!安藤だぞ!どーだ隈だぞ!って金の使い方しか知らないだろう、けど
この金の賭け方、なんと上品で素晴らし。
柘榴石を砕いて、混ぜた佐官壁とか、そんな贅沢ある??
書院作りの茶室、右にラウンドして抜けている部分は縁が漆塗り。
とにかく全てに職人技が光る。
いまの日本でこの家は再現可能なのだろうか?
先日NHKでやってた千利休の茶道具を守ってる京都の職人たちの姿が被る。
そこにも失われた技術があり、それを蘇らせようとする職人がいた。
たぶんここも、そんなに違わない気がする。
ただこちらは、残そう!というよりは、普段の仕事を精一杯頑張った職人たち
なので、残そう!という保存に対する意識がない分、現代には再現できないかも。
でも、1番びっくりしたのはガラス。
縁側のこのガラス。
え?100年前?
日本のガラスでも大正ガラスと呼ばれるものは、表面は平らでも、密度が均一ではないから向こうの風景画が歪む。これがなんとも良い。私は去年京都で久しぶりにこの大正ガラスの大きなものに、あるレストランで出会った。聞けば100年ほど前の着物屋の長屋のリノベ物件で外のガラスがすべてそのままの大正ガラス。なんともいえない窓外の景色の歪み。
だが、この縁側のガラスは、それと同じか?それより古いのに、正面からはほとんど向こうが歪まない。それどころかフチは、3cmほと綺麗に面取りされている。
一番左は向こうの風景がしっかり見える、正面のガラスもしっかり見える。
しかし左から2枚目、3枚目は、室内が写り、黒く見えているからわかりやすいが、
まずかに波打って黒く見える。歪んでいる。
現代のガラスではこの厚さでこの歪みが生じることがほとんどない。
今のものではない。と触ってはいけないガラスを少し爪先で叩く。軽い。
たまらず質問したら、100年ほど前に、
アメリカにわざわざ造らせて運んできたと。
戦前でよかった。
板ガラスオタクとしては、もうこれだけで満足。
で、2階でのインタビューということで2階に上がる。
(ここは一般公開していない?)
と、そこがまた、萌ポイント満載。
まずは、こいつ!この螺鈿。ピンクなので桜貝?
中を開けていただくと、中の方が若干色が浅い。
日焼けにより少し外側が黒い。
もう、これだけで白飯三杯はいけます。
さらにこの床。と扉の装飾。
漏らしてしまうのを堪えて
もはや昇天しそうです。
その横に置かれていた時計。
SEIKOではなく、
SEIKO SHAこれ、オーダーメイド?
何かの記念品?
カルティエのミステリークロックばりに、
上品な仕上げ。
記念館の方は、プロテスタントとのことでそこかしこに洋風。
いやあ、眼福眼福。
それにしても母屋の茅葺の 屋根の葺き替えにより、目の前のアカマツの伐採危機は、
なんとかならんのか?が気になる。
次回
左官屋さんの友人連れて行きたい場所でした。
これだからビシュヘンの遠足はやめられない。

